菊池容斎『前賢故実』
これまでにぼんやりのコレクションとして鞆柄(巴)、源義高妻(大姫)、平重衡を描いた粉本をこのブログで紹介してきました。他に12枚の源平時代の人物を描いた粉本を持っています。
これが何の粉本なのかずっと気になっていたのですが、何を写したものなのかがわかりました。
菊池容斎『前賢故実』10巻がそうです。明治元年刊行。
菊池容斎(1788〜1878)は、幕末から明治にかけて活躍した歴史画家です。
『前賢故実』は、有職故実を考証しながら古代から中世にいたるまでの500人以上の賢人を集め、見開きの右に略伝、左に図を載せたものです。
当時の歴史画家たちの絵手本となりました。きっとわたしの所有する粉本も、画家が模写したものだと思います。
どんな人物が描かれているかは、はてなダイアリーの前賢故実に列挙されています。
ネット上では、京都大学電子図書館の貴重資料画像で全巻を見ることができます。
上の写真は、明治36年に菊池容斎の孫菊池武九によって、さらに有職故実の考証1巻を加えて『考証前賢故実』11巻(東陽堂)として刊行されたものです。サイズは文庫本の大きさなので、元の『前賢故実』に比べて迫力に欠けます。
ブログ用にスキャナするにはちょうど良い大きさかもしれません。おいおい紹介していきたいと思います。
【参考文献】
出口久徳「絵画ー挿絵・近代絵画」(『國文学』特集平家物語生まれかわりつづける物語 47巻12号10月号、2002年)←これを読んで『前賢故実』という書物を知り、京都府立総合資料館で菊池容斎『前賢故実』10巻を見せていただき判明しました。
『考証前賢故実』11巻(東陽堂)は、古書店で購入。
※私事ですが、毎日仕事が入ったのと、体調が悪いのとが重なって、更新が滞ってしまいました。すみません。
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