(右は、図版の一部。私の原図になる「戦国期京都の酒屋分布図」)
先日、フランスから国際郵便で重たい重たい荷物が届いた。さっそくにあけてみると、巨大でカラフルな豪華本が出てきた。出版されたばかりの、FIÉVÉ, Nicolas, éditeur"ATLAS HISTORIQUE DE KYOTO, Analyse spatiale des systèmes de mémoire d'une ville, de son architecture et de son paysage urbain"(ニコラ・フィエヴェ編『京都歴史地図—都市の記憶システムの空間的分析と、その建築と都市景観—』)が届いたのであるヽ(´▽`)/。待望の刊行である。しかし、こんなに大きい本になるとは思ってもいなかった。日本風にいえばB4版くらいの大きさで、総ページ数は528ページ、厚さは4.5cmという巨大さなのである。重さは4.4kg(!)だというから、変な姿勢で持ち上げたらギックリ腰にもなりかねない。
さっそくあけてみた。この本のうち、下記の5章が私の執筆分である(ホントはもう1章書いたのであるが、他の人の執筆分と内容が重複したようで、やむなくカットとなった)。
L'urbanisation de Shirakawa et de Toba à la fin du XIe siècle(11世紀末の白河と鳥羽の都市化), pp.113-116.
Kyôto à l'époque des luttes entre les provinces (1467-1573)(戦国期〈1467〜1573年〉の京都), pp.145-150.
Les châteaux forts et les bastions médiévaux autour de Kyôto(京都をめぐる中世城郭), pp.157-161.
La résidence de Jurakudai et le château de Fushimi(聚楽第と伏見城), pp.167-174.
Le château de Nijô, le palais impérial et le quartier des nobles de Cour(二条城と内裏・公家町), pp.175-182.
Les groupes de quartiers à l'époque d'Edo(江戸時代の京の町組), pp.201-206.
この本、かなりの難産だったようで、私が原稿を執筆したのはもう10年くらい前になる。京都大学の高橋康夫先生からお話をいただいて、先生のお手伝いという意味合いであった。高橋先生によると、コレージュ・ド・フランス(国立フランス学院)のニコラ・フィエヴェ博士がユネスコからフランス語の『京都歴史地図』を刊行したいという計画を持っておられる、ということで、そこに参加させていただくことになったのである。原稿を書くだけでなく、図面の算段までしなくてはならないので、かなりの大仕事となった。原稿締め切りからだいぶ遅れてしまって、フィエヴェ先生をやきもきさせてしまう仕儀になった(その節はすみませんでした・・・m(_ _)m)。これがご縁で、2002年には1年間京都に滞在して研究されるフィエヴェ博士と初めてお会いすることができた。流暢な日本語を話されるので、ホッと安心した。
そうして原稿は出したのだが、フランス語への翻訳と図面の製図、さらにはユネスコからの資金の獲得などに多大の労力がかかったらしく、ようやく今日、それが刊行された。おそらく、ここまでこぎつけたフィエヴェ先生の奮闘は大変だっただろう。
できあがってみると、これは凄い。なんといってもオールカラーというのは迫力がある。なによりも、単なる地図集ではなく、京都の都市史の専門書としても充分通用する内容である。さらに、京都の史跡のカラー写真も豊富だから、ヨーロッパの人々に京都の魅力を紹介することにも一役買うことができるであろう。こんな充実した京都歴史地図集は、日本ですら出版されてはいない。むしろ、この本を補訂してフランス語から日本語に逆翻訳して出版しても、充分意義のあるものになるだろう。おそらく、今後かなりの永い期間にわたって、ヨーロッパにおける日本研究・京都研究の基本書として使い続けられることは確実だろう。そんな重要な書物の製作に参画させてもらった幸福に、感謝々々。
ただ、個人的にただひとつ悲しいのは、私はフランス語は皆目わからず、この本はまったく読めない、ということ(;ω;)。なにせ、自分で書いた部分を見ても、固有名詞の単語をたどるしかできないのだから、情けない限りである。
この本の刊行を契機として、ヨーロッパでも京都都市史研究の重要性が広まりますように・・・
書誌を記載しておきます。アマゾンで見ると、定価79ユーロだそうです。つまり日本円に直すと1万円くらい。これは安いといわねばならないでしょうね。お買い得です。もちろんフランス語が読める人に限ってのことですが・・・
"ATLAS HISTORIQUE DE KYOTO, Analyse spatiale des systèmes de mémoire d'une ville, de son architecture et de son paysage urbain"
éditeur : Nicolas FIÉVÉ
Auteur : Paul AKAMATSU, FUJII Tadashi, Francine HÉRAIL, HIRAO Kazuhiro, HONGÔ Keiko, HOSOKAWA Takatoshi, ITÔ Sadahiko, KATÔ Kuniko, Nathalie KOUAMÉ, KÔZAI Katsuhiko, KUMAZAWA Eiji, François MACÉ, Marie MAURIN, Joan PIGGOTT, Philippe PELLETIER, SENDAI Shô'ichirô, TAKAHASHI Yasuo, Corinne TIRY, Charlotte von VERSCHUER, Michel WASSERMAN, YAMADA Kunikazu, YAMASAKI Masafumi
Paru le : 25/11/2008
UNESCO
ISBN-10: 2859174869
ISBN-13: 978-2859174866
【書いたもの】
◎YAMADA Kunikazu,“L'urbanisation de Shirakawa et de Toba à la fin du XIe siècle”,“Kyôto à l'époque des luttes entre les provinces (1467-1573)”,“Les châteaux forts et les bastions médiévaux autour de Kyôto”,“La résidence de Jurakudai et le château de Fushimi”,“Le château de Nijô, le palais impérial et le quartier des nobles de Cour”,“Les groupes de quartiers à l'époque d'Edo”, in Nicolas FIÉVÉ ed., ATLAS HISTORIQUE DE KYOTO, Analyse spatiale des systèmes de mémoire d'une ville, de son architecture et de son paysage urbain (Paris, 2008), pp.113-116,145-150,157-161,167-174,175-182,201-206.