百舌鳥御廟山古墳を見、ゲルギエフを聴く、の巻
11月28日(金)
現在も、宮内庁によって天皇・皇后や皇族の陵墓に治定(「ちてい」ではなく「じじょう」と訓む)されている古墳や遺跡や建造物には、原則として立ち入ることはできない。これが考古学・歴史学研究への大きな障害となっているのは周知の事実である。そこで、考古学や歴史学の学会では、この30年の間、共同して宮内庁に陵墓公開を求めてきた。なかなか宮内庁のガードは固いのだが、最近では少しそれに変化も見えてきた。
と、いうことで、今回は宮内庁の「陵墓限定公開」として、大阪府堺市の百舌鳥古墳群にある百舌鳥御廟山古墳(宮内庁では「百舌鳥陵墓参考地」と呼ぶ)が選ばれた。各学会から合計40数人が参加。私は、(財)古代学協会の陵墓担当の資格での参加である。
今回の陵墓限定公開の特徴は、百舌鳥御廟山古墳の墳丘裾部の発掘調査を、宮内庁と堺市埋蔵文化財センターが「同時調査」をおこなっており、堺市による調査地は市民への公開がなされる、ということである。なぜこんなことになったかというと、百舌鳥御廟山古墳は墳丘部だけが宮内庁管理であり、周濠は堺市管理の民有地であるからである。宮内庁と堺市は綿密に打ち合わせして調査にはいったということであり、一本のトレンチ(試掘溝)が、境界線を境にして宮内庁分と堺市分とに分かれている。この場合、もちろん土層断面図などは一続きになるものが作成されるはずだし、遺物も場合によっては両者の調査のものが接合するということもありうる。そして、墳丘に接した部分に堺市が見学用の仮設通路を設置しており、11月29・30日にはこれを市民の方々にも公開する、ということになっている。
我々も、この仮設通路からの見学ということになり、トレンチに近づくことに限界があったので、いささか隔靴掻痒の気分である。このことを陵墓公開の退歩とみるか、堺市との同時調査と市民公開という点を評価して陵墓公開の進歩と見るか、いささか悩ましいところである。でも、埴輪列や葺石が綺麗にでているところがあり、これは堪能する。
見学終了後には、みんなで堺市博物館を見学し、その一室をお借りして討論会をおこなう。
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さて、討論会終了後には、ビールの誘惑に後ろ髪を引かれながらも帰洛を急ぐ。京都コンサートホールに滑り込み、頭を古墳から音楽に切り替える。「京都の秋音楽祭」の掉尾を飾るロンドン交響楽団の演奏会があるのである。指揮は、今、人気絶頂のワレリー・ゲルギエフ。曲目は、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」(ピアノ:アレクセイ・ヴォロディン)とプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」組曲である。あれっ、と思うと、私の目の前の席にはKF大学のIN教授が座られる。幕間にロビーに出ると、某古代史研究者ことKMさんに声をかけられる。NHさんとご夫婦で来られているとのこと。
ヴァイオリンを両翼に配置し、チェロやコントラバスを向かって左手に、金管楽器を向かって右手奥に島状にかためるのはゲルギエフの趣味だろうか? あんまり見たことのない楽器配置である。オーケストラはやっぱり凄い。クライマックスでは身震いがするほどの迫力である。ラフマニノフでのピアノは若いピアニスト。初めて聞く名前なのだが、ゲルギエフに同行するくらいだから注目株なんだろうな。ただ、ちょっとピアノがオケに呑まれてしまったような感を受けたのは残念(ピアノのアンコールのショパンのマズルカのロマンティックな演奏は良かった)。ゲルギエフの指揮は指揮棒が無く、10本の指をヒラヒラさせながらなので、なんだかピアニストがふたりいるようなイメージを受けてしまった。プロコフィエフは管楽器が活躍する曲だけに、ロンドン響の名手の妙技が炸裂。チューバなんか、度肝を抜かれるほどの圧倒的な存在感だった。
どうでもいいことだが、チェロの真ん中の黒髪の女性奏者、なかなかの別嬪さんだった。また、コンサートマスターはなんだか若き日のウラディーミル・ホロヴィッツを想わせる風貌の人。ホロヴィッツがヴァイオリンを引きまくっているようで、なんだか可笑しかったヘ(゚∀゚ヘ)。
ロンドン交響楽団を聞くのは、実は約30年ぶり。ただ、前の機会の指揮者は、当時は「幻の指揮者」と言われていた故セルジュ・チェリビダッケだった。チェリさんを聞いたことがある、というのは、今ではちょっとした自慢かもしれないな┗(^o^ )┓。
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←11月18日、祇園のお茶屋「福島」に招いてもらって「平安京」のミニ講演。祇園だということで、祇園歌舞練場の裏側の崇徳天皇廟をネタにすると、聞いてくれた人の中に「自分の先祖は崇徳上皇が讃岐に流された時に同道した従者だったと伝えられている」という方がおられて、びっくりびっくり。拙い講演の後は、すばらしい京料理と舞妓・芸妓さんの踊りを堪能。

