ダライ・ラマ法王の冗談、の巻
いやあ、法王猊下、やっちゃってくれてますね〜〜〜!!!(・∀・)イイ!!!、というのが、8月4日のスイス・ローザンヌでの記者会見のこのニュース。新型インフルエンザについて意見を求められたダライ・ラマ14世法王、なんと、記者団の前で鼻薬を鼻の穴に突っ込んでみせた、というのである。この御方、亡命中とはいえひとつの国の元首であり、世界的な宗教の最高指導者ですよ。そんな立場にありながら、こんなことがスッとできてしまうのは世界広しといえどもこの人くらいであろう(o^-^o)。出席していた海千山千の記者たちも、さすがに毒気を抜かれて、それから大爆笑だったに違いない。さらに、同行の側近たちが「また、猊下のいつもの悪いクセが始まった・・・」と苦笑いしている様子まで目に浮かぶようである。おそらく、法王自身も自分のジョークに満足して、記者たちと一緒になって、あの有名な腹の底からの豪快な高笑いをしていただろうな。
報道では、法王が鼻につっこんでいるのは「鼻スプレー」となっていたけれども、これは誤りのようです。ホントはタイの庶民的な嗅ぎ薬の「ヤードム」だったらしい。使ったことはないが、メンソレータムを強烈にしたようなもので、鼻も頭もスーッとする薬のようで、単に嗅いでもよいが、鼻に突っ込んでおくのもよいということで、法王が鼻に突っ込んだのも、使い方としては別におかしいことではないらしい。たぶん、法王の日頃の愛用品なんだろうな(私もいろんなところでしばしば居眠りしてしまうから、ぜひ使ってみたいぞ〈追記〉)。
ダライ・ラマ法王がスイスを訪問していたのは、ジュネーヴでの「和解のための国際共同体」と「スイスチベット友好協会」が主催した「チベット・中国会議」に出席されたためである。報道では「中国とチベットの代表団が、二つの共同体間により良い理解を醸成するための方法を議論し、チベット問題の平和的解決の方法を検討するために集った、というのだが、もちろん中国政府や中国共産党が出席したわけではなく、海外在住の中国人で、現在の中国政府・共産党のやりかたに反対する人々の団体が代表を送ったのだろう。
それにしても、この「鼻薬」の写真、よく考えてみると、単なるウケ狙いのパフォーマンスではない。もし私が中国共産党の対外プロパガンダ担当者であったなら、この写真を見せられたら絶望的な気分に陥ってしまうだろう。だってそうでしょう。これまで営々として、「ダライ(中国共産党は法王をこのように呼び捨てにする)は悪魔だ」「ダライは人の血肉をすすっている」「ダライは人間の皮をかぶった鬼だ」と口をきわめて罵ってきたのに、その、「悪魔」であるはずの当の本人は世界中のマスコミの前で茶目っ気たっぷりに鼻薬を鼻につっこんで大爆笑をとっているのだから!! 中国側がせっかく一生懸命続けてきた宣伝が、法王の一発の冗談の前に木っ端みじんに粉砕されてしまっている。格の違いを見せつけられる、というのはまさにこのことである。
中国の宣伝担当者は、こんな途方もない人物を相手にしなくてはならないのである。しかも、ダライ・ラマ法王は自分は100歳まで生きると確信している、と発言している。これも中国の対外宣伝担当者にとっては頭をぶん殴られたようなショックだと思う。100歳ということが本当に実現したとすると、彼らはあと四半世紀の間(中国の公務員の定年は何歳なのだろう?)、この、多大な労力がかかるのにまったく成果のあがらない、割に合わない仕事を続けなくてはならないのだから。中国政府および中国共産党の対外宣伝担当の皆さん、自業自得とはいえ、ホントにお気の毒なことである( ̄ー ̄)。
〈追記〉ヤードムとその類似品の中で、アメリカ製の「ヴィックス インヘラー(L−デソキシエフェドリンを含有するもの)」だけは、日本には輸入禁止です。