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2010.02.23

ダライ・ラマ14世法王、オバマ大統領と会談、の巻

100223 世界中のニュースになっているが、2010年2月18日、ダライ・ラマ14世法王が訪米、アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領との会談に臨んだ。ふたりのノーベル平和賞受賞者が初めて対面したのである。前回の法王の訪米の際には、オバマ大統領は就任直後でしかも訪中を間近にひかえていたため、法王との会談を見送ってしまい、アメリカ国民から強い非難を受けてしまった。それが今回、やっと実現したのである。ともあれ、良かった(^^)/。
 オバマ大統領のために言っておくと、決して彼もチベットを無視していたのではない。2009年11月に訪中した際の、中華人民共和国の胡錦濤国家主席との共同記者会見が注目に値した。オバマ大統領、会見の最後の段で「人権はアメリカだけの価値でなく、普遍の価値だ。少数民族の人権も守られるべきだ」「チベット問題を解決するためにダライ・ラマ特使との会談を再開すべきだ」と言明したのです。共同記者会見だから、真横に胡錦濤主席が立っている、その場での出来事だった。つまり、中国の政策に対して、面と向かっての批判を投げつけたということになる。日本の政治家ではとてもできないこんな芸当、さすがはアメリカの大統領である。
 今回の法王と大統領の会談について、中国はあいも変わらず、なんたらの一つ覚えの悪口雑言である。これを聞いていると、中国のやりかたはかつてのナチ・ドイツにおける政治宣伝のやりくちとそっくりである。

 それに対してのダライ・ラマ法王。雪の残るホワイト・ハウスの庭を、いつもの裸足とサンダル姿でぺたぺたと歩いておられる。寒いはずだが、そんなそぶりは毛ほどもみせられない。雪をつまんで廻りを取り囲んでいる記者団に向けて飛ばしたり、記者団に対して「質問を準備しておいてね。良い質問をね。愚かな質問はダメだよ(笑)」など、例によっての冗談も忘れない余裕綽々ぶりである。
 「私にはチベット人600万人を代表して話し合う責務がある」、
 「チベット問題は大義の問題だ。平和を願う大義だ」、
 「今日の中国の共産主義者は本当に腐敗しており、潔く引退すべきだ。民衆の支持も、堅固なイデオロギーもないからだ」、
 「中国共産党も、国民の幸福よりも、権威主義と金を稼ぐ資本主義を追求し、堕落している」、
 「『人民解放軍』とか『人民共和国』とか、名前は美しいが、実は人民ではなく役人のものだ」、
 「中国共産党には共産思想がない。これはとても素晴らしいことだ(笑)」、
 「私は今もマルクス主義者(註)だと自認しており、私の脳ミソの中味の方が中国の指導者よりはるかにアカい
など、今回の法王、いつもにも増して絶好調である。

 ダライ・ラマ法王、今年も来日されるという情報がある。せっかくの世界的な敬愛の的になっている人物なのだから、日本の首相をはじめとする指導者も会談を申し入れなくちゃソンだよ。どうせ中国は「内政干渉だ」などとワケのわからないことを言うだろうが、アメリカ大統領や日本の首相が自国の中で誰と会おうが、文句を言われる筋合いはない。そのうち、天皇とダライ・ラマの会談、なんてことまでもが実現したら良いのに。
 
(註)ダライ・ラマ法王は若き日にマルクス主義を学び、その平等思想に大きな感銘を受けていた。

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