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2010.04.21

チベット東部大地震に心が痛む

 2010年4月13日23時49分(日本時間14日7時49分)に、チベット東部・カム地方のケグドゥ(キグド、ケグド、ケグとも表記されるし、ジェクンド、ユルシュルともいう)をマグニチュード7を超える大地震が直撃した。現在は中華人民共和国の支配下にあり、青海省玉樹蔵族<チベット族>自治州玉樹県と呼ばれている地域である。その全貌が明らかになりつつあるが、ケグドゥの人口は3万人(周辺を含めると8万人)というが、死者・行方不明者は2000人を超え、負傷者は1万2000人以上、民家1万5000軒が倒壊、ケグドゥとその周辺の10万人が住居を失ったと伝えられる。現地からの大量の写真は「Kyegu Monastery さんのギャラリー」で見ることができる(ただし、被災者の遺体が火葬のために山積みされているショッキングな写真もあるのでご注意ください)。目を覆うような惨状である。ただでさえ苦しんでいるチベットの人々が、どうしてさらにこんな試練にあわねばならないのか、それを考えると涙がとまらない。しかし、その中でもチベットの各地から集まったチベット仏教の僧侶たちが献身的な救助活動をしておられることには感動する。
 ダライ・ラマ14世法王も、自らの生まれ故郷に近いこの地を襲った災害に悲しみをあらわし、救援活動を行っているチベットの人々(僧侶および在家の人々)への感謝、救助にあたっている中国政府と中国指導部に対する賛辞、支援者への感謝、教育施設・医療施設の復興の必要性、衛生や保健面での世界の支援の呼びかけ、を述べられた。法王にとっては普段は対立している中国政府と中国共産党ではあるが、その救助活動を率直に誉めたたえているところなど、法王ならではの誠実さである。

 法王は、亡命中の身では被災者に直接の救いの手をさしのべられないことを悲しみ、できることなら被災地を訪れて人々と悲しみを共にしたい、そして犠牲者のために祈りを捧げたい、と強く希望している。もちろん直截の救助活動や物質的な援助が急務であることは当然だが、それにも増して重要なのは打ちのめされた人々に対する心のケアであろう。そして、チベット人に対してそれができるのはダライ・ラマ法王しかおられないというのも自明である(付記)。
 被災地でも、被害家屋に法王の肖像写真が掲げられている風景が見られたり、被災者の間からも〝金も物も何もいらない。法王に来ていただくことこそ私たちみんなの願い。法王のお越しがないなら、何をもらったとしても心は満たされない〟という声が聞かれるというし、子供ですら〝私たちにはダライ・ラマ法王がいる。ダライ・ラマ法王は太陽だ。本当に被災地に来てほしいのは(胡錦濤国家主席ではなく法王だ)〟と囁いているという(以上、この記事による)。また、廃墟の片付けをしていたある女性は、瓦礫の中から法王の写真を見つけだした。彼女はすぐにその写真を頭上に掲げて涙を流しながら祈りをつぶやき、それを見た周囲の人々は次々とその写真を受け取り、彼女と同じように祈りを捧げた、という(以上、この記事による)。
 しかし、予想通り、中国政府は法王の現地慰問の希望をケンもホロロに拒絶している。さらに、中国の現地政府は被災地を整理して再開発し、高原エコ観光都市(!)」として売り出す計画をたてているのだという(´ρ`)。

 何もできない私ですが、せめて、今回の災害で苦しまれた人々のために祈りを捧げたいと思います。また、僅かですが、日本赤十字社の救援金募金に応じたいと思います。←〈4/21追記〉申し訳ありませんが、方針変更します。チベット亡命政府の本拠であるダラムサラに「玉樹地震慈善委員会」が発足し、4月21日より募金活動をおこなうことになったとのことです。日本赤十字社でももちろんいけないことはないのですが、やはりチベットの人々への募金は、同じ心情を共有する亡命チベット人の方々こそが最も良い使い方をしていただける(もちろん、亡命地にある同委員会が被災地に救援金を届けるのには困難も予想されますが・・)と信じますので、ささやかな募金は同委員会に献ずることにいたします。

(付記)中国政府がダライ・ラマ法王に対抗させるために擁立した「対立パンチェン・ラマ11世」ギェンツェン・ノルブも、地震被害者に対して義援金を拠出したり、北京の寺院で犠牲者追悼の法要をおこなったり、彼は彼なりに懸命の活動をやっており、それは確かに賞賛に値する。しかし、なにせダライ・ラマ法王の認定が得られず、中国共産党の傀儡、または偽者とさえみなされている「対立パンチェン・ラマ」としては、気の毒ではあるがチベットの人々の心を慰めるには限界があるだろう。なお、細かいことではあるが、この記事の日本語訳、対立パンチェン・ラマ11世の名前を「ギェンツェン・ノルブ」ではなく、「ゲンドゥン・チューキ・ニマ(これは、ダライ・ラマ法王認定の真性のパンチェン・ラマ11世の名前だ)」にしているぞ(!)。ケアレス・ミスではあろうが、中国側の立場にたつ記事としてはマズすぎるぞ(^-^;。

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