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2013.10.15

講演会「森浩一先生と橿原考古学研究所」、の巻

131015(菅谷文則橿原考古学研究所々長の御講演)

いろいろと、忙しくなっています。

10月5日(土)
 公益財団法人古代学協会の公開講演会と第3回「角田文衞古代学奨励賞」授賞式。奨励賞は國學院大学文学部助手の中村耕作氏の「土器カテゴリ認識の形成・定着―縄文時代前期後半における浅鉢の展開と儀礼行為―」(『古代文化』第64巻第2号、2012年9月)。若い研究者が続々と育っていってくれるのは、嬉しい限りである。公開講演会は青山和夫茨城大学教授の「マヤ文明の神秘のベールをはぐ—石器の都市文明の実像に迫る—」。現地体験にもとづく、熱気にあふれた講演である。青山氏は京都出身で、同志社中学・高校の卒業生というから、親近感がわく。終了後のお茶会では、青山氏からメソアメリカ文明研究の最先端の情報を教えてもらいつつ、話が弾む。

10月12日(土)
 京都産業大学で、日本史研究会の総会・大会。午後の個別報告では、古代史部会と中世史部会の丸山裕美子「平安中・後期の医学と医療」と伊藤裕偉「港をめぐる人と地域―泊浦・志摩・熊野―」を聞く。伊藤さんの報告では、志摩の中世都市空間の綿密な分析が興味を引く。現在の三重県鳥羽市の中心部が、中世にはものすごく稠密な都市空間が展開していたことにびっくり。
 終了後は京都駅前にかけつけて、古代史部会の懇親会。仁藤敦史さんや吉野秋二さんたちと、古代都城論の花を咲かせる。翌日の共同研究報告も私の研究テーマに深く関わるものなのであり、聞きたいのはもちろんなのであるが、どうしても外せない別件がある。報告者の岩田さんに、失礼のお詫びを申し上げる。

10月13日(日)
 この日の別件とは、橿原考古学研究所の講演会「森浩一先生と橿原考古学研究所」である。プログラムは次の通り(敬称略)。
・「開会挨拶」奈良県立橿原考古学研究所所長 菅谷文則
・講演1「昭和20年代の調査と森浩一先生」佛教大学名誉教授・橿原考古学研究所研究顧問 杉本憲司
・講演2「昭和30~40年代の調査と森浩一先生」橿原考古学研究所所長 菅谷文則
・講演3「昭和40年代以降の調査と森浩一先生」奈良芸術短期大学教授・橿原考古学研究所特別指導研究員 前園実知雄
・「講演者全員と森先生ゆかりの方々による座談会」コーディネーター:橿原考古学研究所附属博物館学芸課長 今尾文昭/講演者以外の出席者:橿原考古学研究所共同研究員 宮川徏、元・橿原考古学研究所研究嘱託 田中英夫、桜井市纒向学研究センター所長・橿原考古学研究所特別指導研究員 寺沢薫、葛城市歴史博物館館長・橿原考古学研究所共同研究員 千賀久、古代学研究会会員 井端次男
・閉会挨拶:橿原考古学研究所副所長・同附属博物館長 西藤清秀

 昨晩があったので、ちょっと寝過ごしてしまう。あわてて飛び起きて朝食もとらずに飛び出したおかげで、なんとか電車に間に合う。会場には10時直前に着だが、もう行列ができている。やはり森先生の人気は凄いな。席を確保してから、いろんな方々にご挨拶させていただく。菅谷所長は私のブログを読んでいただいていたようで、私の健康状態のことを細かにご存知だったのにはびっくり。森先生の奥様も招待され、最前列で聴講されている。
 会場ロビーには橿原考古学研究所の資料から抜き出した、森先生の活動のさまざまな写真がパネルにして展示してある。昭和38〜40年(1962〜1965)の新沢千塚古墳群の調査の写真では、若々しい森先生が自らスコップをふるっている様子が写っており、感慨深い。どなたが撮影されたのかは知らないが、森先生の最晩年に、桜井茶臼山古墳の竪穴式石室内部にはいっておられるところの写真などは、ものすごく貴重なショットである。

 講演会はいずれも、それぞれの先生方が森先生とつきあってきた経験をふまえての話だけあって、余人が知らない秘話もさまざま含まれており、興味津々である。

 後半の座談会もそれぞれ談論風発である。「登壇者以外の出席者の方々にもご発言をお願いします」とのことで、コーディネーターの今尾文昭さんの御厚意で、岡本健一氏、梅原章一氏、天野幸弘氏とともに私も指名をいただき、発言の機会を与えていただく。ありがたいことである。私だけが知っている「秘話」かどうかはわからないが、同志社大学歴史資料館に陳列してある徳島県星河内出土の銅鐸を先生が入手された時のエピソードを披露させていただく。

 終了後は、別の予定があるので、あわてて京都に帰る。これについては稿を改めて紹介します。

【しゃべったこと】
◎今尾文昭〈コーディネーター〉、杉本憲司・菅谷文則・前園実知雄・宮川ススム・田中英夫・寺沢薫・千賀久・井端二夫〈出席〉、山田邦和・岡本健一・梅原章一・天野幸弘〈会場からの発言〉「講演者全員と森先生ゆかりの方々による座談会」(奈良県立橿原考古学研究所〈主催〉「講演会 森浩一先生と橿原考古学研究所」、於奈良県立橿原考古学研究所講堂、2013年10月13日)(ススム=徏)


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