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2014.01.26

小林研一郎指揮京都市交響楽団、の巻

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 1月24日(金)
 京都市交響楽団第575回定期演奏会。小林研一郎さんの登場である。
 小林研一郎さんといえば「炎のコバケン」の愛称で知られる、日本を代表する世界的な指揮者である。1985年4月 から1987年3月にかけて、短い間ではあったが京都市交響楽団の常任指揮者(第8代)をつとめておられたから、私も学生時代にコバケン=京響をよく聞いていた。まだ京都コンサートホールは存在していない時であり、音響が悪いことで知られていた京都会館が会場だという悪条件の中で、すばらしい仕事をされていたと思う。確か、市当局にかけあって京都市交響楽団の専用練習場を建設させたのも、その時のコバケンさんの隠れた業績だったはずである。さらに、これもうろ覚えであるが、京都コンサートホール建設計画の推進力のひとつにもなってこられたと記憶している。その意味では、京都の音楽界の恩人のひとりだといってよい。コバケンさんの京響とのファイナル・コンサートも聞きに行った時、あまりのすばらしさに舞台に駆け上がりたい衝動に駆られたものであった。

 今回は、ウェーバー「歌劇オベロン序曲」、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(Vn:三浦文彰)、そして私の大好きなサン=サーンスの交響曲第3番(Org:長井浩美)。メンデルスゾーンでは、20歳をすぎたばかりの若手の三浦文彰さんが独奏。小林さんはヴェテランらしく、慈父のようなまなざしを注ぎながら、がっしりとこの若いヴァイオリニストを支えている。

 お目当てのサン=サーンス。これは凄い! 昨年はパーヴォ・ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団で同じ曲を聞いて、その華麗な音の饗宴にすごく感動した。小林さんの造り出すサン=サーンスはそれとはひと味もふた味も違っている。テンポを自在に揺らしながら、まろやかでロマンティック、しかも壮大な響きをつくり出して行く。長井浩美さん(綺麗!)のオルガンとの並走の部分ではオーケストラを押さえて、なんだか交響曲というよりもオルガン協奏曲風になるのはびっくり。しかし、これはこれで説得性のある解釈である(ピアノ連弾は、オルガンとは逆に、音量を押さえていた)。


2014.01.21

『森浩一の古代史・考古学』刊行、の巻

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 深萱真穂・『歴史読本』編集部編『森浩一の古代史・考古学』ができあがり、手元に届いた。

 編者の深萱真穂さんは、もと京都新聞の新聞記者。同社を退かれてからは、フリーのジャーナリストとしての活動を続けておられる。生前の森先生との親交が厚く、特に先生の最晩年の時期には、健康状態が低下した先生に対して献身的なサポートをされていた。その点では、こうした書物を企画・編集されるのには最適の方であろう。
 内容はなかなかに多彩である。先生の最晩年の講演記録、先生と親交のあったいろいろな方々の追悼文、森先生の学問の展望、写真集、年譜、さらには森先生19歳の短編小説・・・・。どの頁を開いても、生前の先生の息吹が聞こえてきそうで、思わず目頭が潤んでくる。また、裏表紙などに使っていただいた森先生の墨痕「生涯不熟」、前にも紹介したように、私が博士号をいただいた時に、先生が記念として書いてくださったものである。『歴史読本』編集部の本多さんがえらく気にいっていただいたようで、ここに使っていただくことができた。

 私はこの本の中では「森浩一 学の稜線〜須恵器の編年」を執筆させていただいた。テーマは深萱さんの御指名である。ただ、この章での他の方々が、三角縁神獣鏡(中村潤子)、邪馬台国(寺沢薫)、天皇陵古墳(今尾文昭)、遺跡保護(菅原康夫)、地域学(鋤柄俊夫)、古代の技術(門田誠一)、災害と考古学(寒川旭)というように、いずれも森先生の研究・社会活動としてよく知られているものを扱っているのに対して、「須恵器」はどうであろうか。もしかすると、新しい時代に森先生のファンとなったような読者にとっては、先生が「須恵器」を大きな研究テーマとしていたということを知らない人も多いのではなかろうか。
 しかし、須恵器は若き日の森先生にとっては最大の研究対象であった。だいたい、森先生の修士論文はそのものズバリ「須恵器考」だったのである。その集大成が、1950年代〜60年代にかけてまとめられた「森須恵器編年」であった。この編年はその後の「田辺昭三編年」「中村浩編年」の影に隠れてしまった感はあるが、それでも学界で今なお使い続けられている。
 ただ、ある事情によって、後年の森先生は須恵器について積極的に語ることを止めていった。先生にとって、須恵器研究を進める中で巻き込まれざるをえなかったさまざまな事態は、思い出したくもない不快なものだったのである(ちなみに言うと、もしかすると森先生が須恵器についての単独の文章を書かれた最後は、私の博士論文『須恵器生産の研究』に賜った「序文」(1998年)ではないかと思う)。しかし、そのあたりの事情をきちんと把握している人は少なくなってきた。その点では、森先生の須恵器研究の再評価と、先生が須恵器研究から距離を置いていった事情についてきちんと書き残しておくことは、私に与えられた責務のように感じる。だから、紙数は限られているとはいえ、こうしたテーマで書かせていただいたのは、本当にありがたい。

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 もうひとつ。この原稿の中で私が特に力を注ぎ、深萱さんと『歴史読本』編集部の本多秀臣さんに無理を言って突っ込んでもらったのが、123頁の「森浩一須恵器編年の補筆改訂図(山田編)」である。森先生の須恵器編年は研究の進展に応じて改訂が加えられ、編年図が公表されているものだけでも、1961年版、62年版、66年版、73年版、76年版の5種があり、それぞれ細部に微妙な異同が見られるのである。だから、「森須恵器編年を使う」と言っても、それがどの版を使っているのかがわからないと、誤解をまねく場合がありうる。さらに、この5種の版は実は一長一短で、どれも完成されたものとはいいがたい。61年版は全体を俯瞰しているが、最初期のものだけに時期の細分に至っていない。学界でポピュラーなのは62年版であり、これが一番整理されているのは確かだが、これは平安時代が割愛されている上に、66年版でさらなる改訂が加えられている。66年版は使いやすいのだが、古墳時代だけであり、さらには本文と図に重大な乖離がある。73年版は略編年図で、古墳時代の杯だけ。76年版は66年版に僅かに手を入れただけで、しかもその入れ方にいささか問題がある、といった状況なのである
 私は学生時代に、森先生にこのあたりの問題について質問したことがある。先生自身もそれについてはよくわかっておられたし、いつかは「森須恵器編年図」の決定版を作りたいような口ぶりではおられた。しかし、結局はそれは果たされないままに終わってしまったのである。
 そこで、この図では、私が理解している範囲で、森先生の編年の「再構築」を試みることにした。もちろん、先生の研究を完成させられるのは先生しかいないということは百も承知である。先生が遺された図に手を入れるなんて僭越の極みである、といったお叱りを受けるだろうが、それは覚悟の上である。しかし、先生亡き今、先生の須恵器研究の意義を今後に伝えていくためにはどうしてもこういう作業が必要だろうと信じている。そして、須恵器についてそれができる人を探すならば、私もそのひとりには入るだろうとは思う。
 と、いうことで、123頁のこの図、簡単なものに見えるかもしれませんが、私としては熟慮に熟慮を重ねた「労作」です。参考にしていただければ、と思います。(↑ここにアップしておく図は、イメージだけです。イジワルなことにワザと解像度を低下させています〈笑〉。高解像度のものをウッカリとアップしてしまって、本の売れ行きに影響を与えてしまうと出版社から怒られてしまいますので・・・。御興味を持っていただいた方はぜひ御購入ください。明日22日には書店に並ぶように聞いています。)


【書いたもの】
■山田邦和「森浩一 学の稜線〜須恵器の編年」(深萱真穂・『歴史読本』編集部編『森浩一の古代史・考古学』所収、東京、KADOKAWA〈編集:中経出版〉、2014年1月24日)、116〜123頁。(同書執筆者:森浩一、池内紀・小泉武夫・篠田正浩・宮崎美子・大塚初重・上田正昭・杉本憲司・和田萃・菅谷文則・野本寛一・前園実知雄・深萱真穂・中村潤子・寺沢薫・今尾文昭・山田邦和・菅原康夫・鋤柄俊夫・門田誠一・寒川旭・田中英夫・古川順弘)


2014.01.19

銀閣寺の雪景色、の巻

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 寒いのは、キライ。しかし、真っ白な雪景色はホントに綺麗だと思う。
 と、いうことで、雪化粧をした東山慈照寺(通称は銀閣寺)の風景。


2014.01.01

2014年元旦、の巻

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(↑元旦の今宮神社。楼門と左右の狛犬の大きさの差異にビックリするかもしれないが、実はこの楼門は、拝殿に飾ってある模型〈笑〉。背後に見える本殿は、本物)

 2014年正月元旦(水)
 みなさま、あけましておめでとうございます。本年もなにとぞよろしくお願いいたします。

 昨晩は紅白歌合戦をきちんとは見なかったのだが、録画を早送りして、「あまちゃん」スペシャルのところだけは何度も見た。主題歌ともいえる「潮騒のメモリー」を、能年玲奈&橋本愛、小泉今日子、薬師丸ひろ子の3バージョンで聞けるというのは、NHKさん、なんとも大盤振る舞いで、嬉しい。

 初詣は、上京の氏神さまである今宮神社に参拝する。境内の屋台で、昔懐かしい「飴細工」がでているのに、見入る。本殿参拝には長蛇の列。参拝後は、例によって門前の「あぶり餅」を口にする。

 今年がみなさま方にとって、どうか良い年になりますように祈っております。


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