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2016.03.21

沖縄を巡る、の巻

 2016年2月25日
 京都府与謝野町の幾池地蔵山遺跡(中世の墓地遺跡)の調査委員会で、丹後行き。

 2月26日
 陵墓関係16学・協会の陵墓立ち入り調査。今回は奈良県天理市の渋谷向山古墳(治定景行天皇陵)。

 3月3日
 古代学協会の、石作・小塩窯(緑釉陶器窯)の検討会。

 3月5日
 条里制・古代都市研究会の大会。研究報告があたっているので、その準備にこの数ヶ月間、四苦八苦を続けてきただった。お題は「平安京の都市的変容—古代から中世への展開—」 。京・鎌倉時代(あえてこの語を使う)の平安京復元図の提示と、平安時代から京・鎌倉時代の天皇・上皇の行幸・御幸の検討、さらにはそこからうかびあがってくる、中世都市「北山・衣笠・花園」の提唱、が主なテーマ。報告がおわって、肩の荷が降りる。

 3月6日
 ホントは条里制・古代都市研究会大会の二日目なのだが、失礼させていただいて、「森浩一先生に学ぶ会」で京田辺市の一休寺にある森先生のお墓参り。

 3月9日
 東京の立教大学の佐藤雄基さんのゼミ合宿が京都であるというので、鳥羽殿跡と中世都市嵯峨をご案内。あいにくの雨ではあるが、学生の皆さんの興味津々の目が嬉しい。

Img_1113(← 曲線の石垣が美しい座喜味城跡)

Img_1438(← 垣花樋川)


 3月12日(土)~14日(月)
 昨年度から、花園大学の高橋康夫先生の科研費の「ユーラシアのなかの日本中世都市―その基盤研究―」〈基盤研究B、研究代表者︰高橋康夫、研究期間︰2015年4月1日~2018年3月31日予定、研究課題番号:15H04110〉に参加させてもらうことになった。その調査旅行として、5人での沖縄行き。沖縄は久しぶりだから、ワクワクである。

 高橋先生のご配慮で、まずは基本的な遺跡・史跡を巡ってみようということとなる。私もその中のいくつかは見ているのであるが、グスク(城)跡などは十数年前に見ただけ、というものが多いから、その時の記憶はほとんどさだかではない。それだけに、今回の機会はありがたい。
 
 3月9日︰三重城跡、波上宮、護国寺、天妃宮・天尊廟、上天妃宮跡、久米至聖廟(孔子廟)、崇元寺跡、園比屋武御嶽石門、首里城、円覚寺跡、天使館跡、玉陵、中山門跡、天女橋、金城石畳、金城大避川、内金城嶽、弁ヶ嶽
 3月10日︰中城跡、中村家住宅、勝連城跡、座喜味城跡、今帰仁城跡、今泊集落、浦添ようどれ・浦添城跡
 3月11日︰壺屋やちむんの里、尚徳王陵跡、識名園、島添大里城跡、斎場御嶽、知念城跡、垣花樋川<かきのはなヒージャー〈俗称シチャンカー〉>、仲村渠樋川、玉城跡、糸数城跡、浜川御嶽、具志川城跡、喜屋武岬

 これだけ回らせていただいたのであるから、強行軍ではあったが、実に中身の濃い旅となった。グスクの多くは、十数年前よりも整備が進み、見学しやすくなっているのがありがたい。玉城跡など、以前にはジャングルのような密林になってしまっていて登るのを断念したという思い出があるのであるが、今回行ってみるときちんと木製の階段が取り付けられていてすんなりと登れる。

 中でも、ちょっと度を失う思いを味わったのが、南城市玉城にある「垣花樋川<かきのはなヒージャー〈俗称シチャンカー〉>」。雨のあとなのでつるつると滑る石畳の急な坂道を100mにわたって降りていくところにある。上に載せた写真でわかると思うが、清浄な泉の水が導水管によってひかれ、そこから山肌をいくつもの小滝となって流れ落ちる。それが美しい池に溜められているのである。外見をみるだけならば、美しい庭園に見えることは請け合いである。
 しかし、実はこの綺麗な構造物は庭園ではない。この村落の人々の生活用水と農業用水なのである。私が愕然としたのは、この構造物についての記録が失われてしまい、何百年か後に発掘調査されたならば、ゼッタイに庭園と評価されるであろう。さらにその美しさから、誰かが「琉球王国の国王の離宮の庭園」などという評価を下してしまってもおかしくないし、そのまま信じ込んでしまうだろう。考古学に潜んでいる「陥穽」を突きつけられたような気がしたのである。

 3月18日
 わが大学の卒業式。卒業生の皆さんのこれからの人生が幸多いものになることを祈る。

【しゃべったこと】
□山田邦和(講師)「京都学講座・平安京研究の方法4」3「紫式部の生涯」(古代学協会「古代学講座」、於古代学協会角田文衞記念室、2016年1月15日)
□山田邦和(講座)「(1)古市古墳群の後期前方後円墳―清寧・仁賢天皇陵、白鳥陵」(栄中日文化センター「天皇陵古墳を考える」2016年1~3月期、於栄中日文化センター、2016年1月22日)
□山田邦和(報告)「琉球王陵と日本の比較」(日本学術振興会科学研究費助成事業基盤研究B「ユーラシアのなかの日本中世都市―その基盤研究―」〈研究代表者︰高橋康夫、研究期間︰2015年4月1日~2018年3月31日予定、研究課題番号:15H04110〉2016年2月研究会、於花園大学高橋康夫研究室、2016年2月10日)
□山田邦和(講師)「三条通を俯瞰する―三条通の歴史をひもとく―」(京都文化博物館地域共働事業実行委員会・京の三条まちづくり協議会〈主催〉「第30回 京の三条 まちカフェ」、於京都文化博物館別館講義室、2016年2月14日)
□山田邦和(講師)「京都学講座・平安京研究の方法4」4「安倍晴明と平安京」(古代学協会「古代学講座」、於古代学協会角田文衞記念室、2016年3月4日)
□山田邦和(報告)「平安京の都市的変容―古代から中世への展開―」(条里制・古代都市研究会〈主催〉「第32回条里制・古代都市研究会大会『平安時代における都市の変容』」、於奈良文化財研究所平城宮跡資料館講堂、2016年3月5日)
□山田邦和(講座)「(2)近つ飛鳥「梅鉢御陵」の謎―聖徳太子墓、敏達・孝徳天皇陵」(栄中日文化センター「天皇陵古墳を考える」2016年1~3月期、於栄中日文化センター、2016年3月4日)
□山田邦和(講師)「織田信長と〈京都〉」(シニア文化塾事務局〈主催〉「南河内シニア文化塾」平成28年度前期講座〈歴史コース〉、於すばるホール〈大阪府富田林市〉、2016年3月8日)
□山田邦和(講師)「京都学講座・平安京研究の方法4」5「平安京の祭祀」(古代学協会「古代学講座」、於古代学協会角田文衞記念室、2016年3月18日)

【テレビ出演】
■KBS京都・BS11(制作著作)、藤真利子(語り)、山田邦和(監修)、小林敏明(ディレクター)、三宅康仁・斉藤良・四方章雄(プロデューサー)、黒田誠・駒木根徹・磯ヶ谷好章(エグゼクティブプロデューサー)、山田邦和・釋真盛・井口忠男・川俣海雲・長宗繁一・出雲路敬栄(解説)『京都・国宝浪漫』「平安遷都ミステリー~御霊信仰と古代の国宝」(KBS京都、2016年3月7日放送、3月21日再放送)
■同上(BS11、2016年3月10日放送)


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