両陛下の譲位後の称号について、の巻
今年退位される両陛下の称号は、上皇は「His Majesty the Emperor Emeritus」、上皇后は「Her Majesty the Empress Emerita」になるのだとのこと。いつもながらであるが、政府のやりかたのいい加減さには呆れる。両陛下の譲位後の称号は歴史的にみると「太上天皇」「皇太后」であるのが当然なのだが、政府は「太上『天皇』」には「天皇」という語がはいっているから、今上陛下との二重権威になってしまう、とか、「太上天皇では天皇に対して『称号上の上下感を生』」(註)むことになってしまう、などと訳のわからんことを言って、本来は太上天皇の省略形にしかすぎない「上皇」を正式名称にしまった。また、「皇太后」では配偶者の天皇が亡くなってるように見える、などというイミフメイのけったいな理屈をこね回して、「上皇后」というまったくの新語を作り出した。歴史的にみると、配偶者生存中の皇太后なんてごくごくフツーに存在する。
それが英語になると「His Majesty the Emperor Emeritus」「Her Majesty the Empress Emerita」と、きっちりとEmperor、Empressを入れている。Emperorが今上と太上天皇のおふたりいるのはマズイ、と言った舌の根も乾かないうちにこれだ。これがダブルスタンダードでなくてなんだ?
(註)本郷恵子・ 東京大学史料編纂所教授「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議資料」