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2019.03.08

子供の頃の文献史料収集の思い出、の巻

 超人気の歴史学者・磯田道史氏の『歴史の愉しみ方』(中公新書)、面白かった。ちょっと嬉しかったのは、磯田さんが古書店を巡りながら文献史料を漁っている話に、京都の古書店がでてくること。中でも、「寺町二条の尚学堂」(86頁)は私の家のすぐ近所だったので、子供の時からよく覗いていた。
 中学生の時、尚学堂の前のワゴンで『幼学綱要』(明治前期の勅撰修身書)や『皇朝史略・続皇朝史略』(水戸藩士青山延于著の編年体史書。いわば『大日本史』のダイジェスト版)のバラ売りを見つけて、内容もわからないクセになんだかとっても欲しくなった(前者は絵が沢山載っていたことに惹かれたダケ。後者は江戸時代に書かれた日本史の本ということでびっくりしたダケ)。いずれも端本の投げ売りなので一冊50円か100円くらいだったが、それでも50年近く前のことだから、中学生としては大金。仕方ないのでお小遣いを貯めながら、1冊か2冊づつ買っていった。のんびりした時代で、それでも一応は売っているものは全部買うことができて、ワケもなく嬉しかった。子供の頃の淡い思い出です。
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 それから、磯田さんが、京都で「体育館のような会場に古本屋が集まり、バザーの要領で古本を売っている」「さすがに京都である。驚いたことに江戸時代の古文書をビニール袋に入れて売っていた」(44頁)と書かれている(これ、春の連休の「みやこメッセ」の古本まつりのことだな)のだが、これには逆にこちらがびっくりしてしまった。私はこういうのはごくごく普通だと思ってたのだが、実は京都独自の光景だったのか!

 これは磯田さんが書かれているわけではないが、あと、よく覗いたのは寺町夷川の藝林荘。これは今も京都を代表する古典籍専門店だが、実は私の家の斜め向かいなのです。ただ子供には敷居が高いので、店内にはなかなか入れない。店頭のワゴンに、お経の断簡(経切)が並んでいる。これも内容がわかるハズもないのに、古代中世のモノだというだけで感激して、これも小遣いを貯めながらいくつか買った。店の人にはさぞかし奇妙な中学生だと思われただろうな。
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 大学生になってからは、一番の購入先になったのは、丸太町通千本西入ル南側の「八木書店古書部」の通信販売。この店、外側から見るだけでは週刊誌などが漫然と置いてあるごく普通の小さな街の本屋さんなのだが、実は裏には膨大な古典籍・古文書などの在庫があり(聞いたところでは和歌の短冊だけで数万枚あったという)、それは店頭には出さずに目録だけで売っていた。目録が届くたびに目を皿のようにして探した。ここで湯本文彦(『平安通志』の著者)の原稿なんかも入手したな。桓武天皇陵の候補地だった「仏国寺古墓」の史料とか、ここで購入したものをネタに論文を書いたこともしばしば(今年でる某論文集でもそれをやります)。でも、10年ほど前だったか、店主が老齢で引退して目録販売を停止、今は店もなくなってしまった。しかし今でも感謝しております。本当にお世話になりました🙏。
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