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2019.03.04

大河ドラマ「風と雲と虹と」、の巻

CSで1976年のNHK大河ドラマ「風と雲と虹と」総集編の再放送があったので、つい見てしまった。平将門を主人公とした名作。もちろん、「腐りきった都の貴族政治に対抗して、虐げられてきた民衆の代表として雄々しく立ちあがる関東武士」という見方は今となってはナンセンスではあるが、この時代としては一般的な史観であって今の目線で批判するわけにはいくまい。
 しかし、それは別にして、ドラマの出来は良かった。若き加藤剛の将門は飾らない人柄がカッコいい。もうひとりの主役ともいえる、精悍さと人懐っこさを兼ね備えた藤原純友は、緒形拳の名演。ワキを固めるのも、謎の傀儡集団の吉行和子や草刈正雄。クセ者揃いの東国武士団(平国香:佐野浅夫、平良兼:長門勇、平良正:蟹江敬三、源護:西村晃、源扶:峰岸徹)。シブすぎる田原藤太藤原秀郷は露口茂。将門の親友でありライバルであり恋敵であり宿敵となる平貞盛は山口崇がハマり役を見せる。貴族では端正さと傲慢を兼ね備えた藤原忠平を仲谷昇。誠実な能吏でありながら「滅びゆく貴族階級と運命を共にさせてください」と達観する伊予守紀淑人を細川俊之。そして、将門を焚きつける武蔵権守興世王の米倉斉加年の怪演がすごい! 
 女性では、将門の妻良子を演じた真野響子さんの清楚な美しさにも惚れ惚れするのですが、なんといってもブッたまげるのは、吉永小百合さんが将門の恋人の貴子(架空の人物)を演じたこと。貴子は嵯峨天皇の孫という高貴な生まれなのだが、零落して貧困の極にあったところで将門と出会って相思相愛となるのだが、貞盛に無理やり押し倒されて関係を持ってしまい、結局はその恋人となって将門を裏切り、将門が東国に帰るきっかけを作ってしまう。しかし貞盛にも捨てられて人買いに買われて遊女に身を落としてしまい、そこで将門と再会して東国にいざなわれるものの、戦乱に巻き込まれて逃亡する途中で貞盛の軍に捕まり、護送される途中で兵士たちに集団レイプを受けて息絶える、という、なんとも波瀾万丈(ムチャクチャすぎ?)な役回りなのである。
 小百合さんは当時31歳、それまでは可愛い可愛いだけのアイドル的存在だったのが、女性俳優として大きな飛躍を迎えた時期の、自らの殻を打ち破るような挑戦だった。ただ、まだ高校生だった私にはショックが強すぎたぞ。それに、よくも天下のNHKがこういう内容を放送できたものだ。いや、でも、今見直しても小百合さん。この写真のような美しさはさすがに反則でしょ😅。主役すら霞んでしまっているじゃないですか!🥰
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